食道胃接合部に発生した全周性巨大平滑筋腫の1例

足立　淳, 得能　和久, 下田　宏二, 内山　哲史, 村上　卓夫

岩国市医療センター医師会病院外科

　比較的まれな食道胃接合部に発生した長径13cmの全周性巨大平滑筋腫の1切除症例を経験したので，8cm以上の平滑筋腫本邦報告例14例と共に文献的考察を加え報告した．症例は，45歳のアメリカ合衆国在住の男性パイロットで，吐血，下血を主訴とし，食道胃透視で下部食道の粘膜下腫瘍を疑われ紹介された．上部消化管透視，内視鏡にて，下部食道から噴門部にかけて，両端の腫大したダンベル状の粘膜下隆起病変を認めた．腹部CT，MRIでは，腫瘍は，食道下部から噴門部にかけて存在し，境界明瞭，内部構造均一で，造影効果はなかった．手術は，右開胸開腹による下部食道噴門部切除，空腸間置術を施行した．腫瘍は，いびつな大小不同の弾性硬の卵型の充実性集合体よりなり，大きなものは13.0×8.0×5.0cmで，病理組織検査で平滑筋腫の診断を得た．術後経過順調で，術後15日目に退院し，現在パイロットに復職している．

索引用語
leiomyoma in the esophagocardiac junction, surgical therapy, operation method

別刷請求先
足立　淳　〒740-0021　岩国市室の木町3-6-12　岩国市医療センター医師会病院

受理年月日
2001年6月26日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です