症例報告
乳頭部切除を伴う十二指腸粘膜切除を施行した十二指腸腺腫の1例
上田 順彦, 根塚 秀昭, 山本 精一, 礒部 芳彰
舞鶴共済病院外科
乳頭部を含む十二指腸第2部の腺腫に対して,乳頭部切除を伴う十二指腸粘膜切除を施行した1例を経験したので報告した.症例は60歳の女性.内視鏡検査では十二指腸乳頭部のやや口側から第3部への移行部までの乳頭側約1/4周性に,脳回状の隆起を認めた.表面は白色,細顆粒状で軟らかく,悪性所見は認められなかった.生検では中等度異型を伴う腺腫と診断されたが,癌合併の可能性を考慮して手術を施行した.肉眼的には腫瘍は粘膜内に限局し,周囲の正常粘膜との境界は明瞭であったため,腫瘍より約5~10mmのmarginを確保し正常十二指腸粘膜から切離した.ついで胆管と膵管方向への腫瘍の進展を確認しつつ乳頭部切除を施行し,それぞれを形成した.病理学的には病変は粘膜に限局しており軽度から中等度異型を伴う腺管絨毛腺腫であり,癌巣部は含まれていなかった.術後1年6か月たった現在,再発の徴候および胆管炎や膵炎の所見を認めていない.
索引用語
duodenal adenoma, tubulo-villous adenoma, papillectomy
日消外会誌 34: 1606-1610, 2001
別刷請求先
上田 順彦 〒625-8585 舞鶴市字浜1035 舞鶴共済病院外科
受理年月日
2001年6月26日
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