症例報告
術前に診断しえた魚骨による回腸穿孔の1治験例 ―過去10年間の魚骨による消化管穿孔271例の分析―
葉 季久雄, 井上 聡, 渡辺 靖夫, 米川 甫
慶應義塾大学伊勢慶應病院外科
症例は57歳の男性.下腹部痛を主訴に救急外来受診.腹部所見は下腹部に圧痛,反跳痛,筋性防御を認め,腹膜炎の所見であった.腹部単純X線検査では圧痛の部位に一致して約3cmの線状異物陰影を認めた.腹部CT検査では,左下腹部の拡張した腸管内に約2cmの線状異物陰影を認め,魚骨による消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.今回,1990年から99年の10年間の魚骨による消化管穿孔例271例を集計した.271例のうち手術が229例に行われ,術前に正診されていたのは51例(22.3%)であった.腹部の穿孔部位は,回腸,横行結腸,S状結腸と,腸間膜を持ち後腹膜に固定されていない部位に多くみられた.
索引用語
intestinal perforation, fish bone, gastrointestinal foreign body
日消外会誌 34: 1640-1644, 2001
別刷請求先
葉 季久雄 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35番地 慶應義塾大学病院救急部
受理年月日
2001年7月30日
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