腹腔鏡下盲腸部分切除術を行った虫垂粘液嚢胞腺腫の1例

山本　淳, 澁谷　浩二, 井上　正邦, 中島　清美, 内野　広文^＊, 関屋　亮^＊, 鬼塚　敏男^＊

宮崎県済生会日向病院外科, 宮崎医科大学第2外科^＊

　虫垂粘液嚢胞腺腫に対し，腹腔鏡下盲腸部分切除を行った症例を経験したので報告する．症例は67歳の女性．大腸内視鏡検査で盲腸の粘膜下腫瘍を指摘され当科を受診した．注腸造影X線検査，腹部CTにて虫垂粘液嚢腫と診断し，手術は腹腔鏡下盲腸部分切除を行った．術後は一過性の回盲部の通過障害が生じたが，とくに大きな合併症は認めなかった．術後の病理組織診断では虫垂粘液嚢胞腺腫の診断で悪性所見は認めなかった．虫垂粘液嚢腫が組織学的に良性であっても，腹膜偽粘液腫の原因となりうるため手術適応となる．多くは開腹下で虫垂切除や回盲部切除などが行われている．近年本症に対しても腹腔鏡下手術を行った報告がみられるが，盲腸部分切除を行った報告は検索したかぎりでは認めなかった．虫垂粘液嚢腫に対する腹腔鏡下盲腸部分切除は診断的にも価値があり，安全かつ低侵襲で有用な術式であると思われた．

索引用語
mucocele of appendix, mucinous cystadenoma of appendix, laparoscopic partial excision of cecum

別刷請求先
山本　淳　〒889-0692　宮崎県東臼杵郡門川町大字門川尾末880　宮崎県済生会日向病院外科

受理年月日
2001年6月26日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です