症例報告
急性虫垂炎を契機に術前診断できた虫垂villous tumorの1手術例
関野 考史, 立山 健一郎
町立木曽川病院外科
虫垂villous tumorの報告はきわめて少ない.症例は68歳の女性である.右下腹部痛を主訴に当院を受診した.McBurney点に限局した圧痛を認め,白血球数15,000/μl,CRP 0.6mg/dlと上昇を示し,急性虫垂炎と診断した.腹部超音波検査短軸像で盲腸虫垂入口部に低エコーを示す不整な壁肥厚が存在し,長軸像で盲腸から虫垂にいたる低エコーの壁肥厚が認められた.盲腸,虫垂腫瘍の合併を疑い,注腸検査,大腸内視鏡検査を施行し,盲腸虫垂入口部にvillous tumorを認めた.生検の結果tubulovillous adenomaで,早期癌の合併を念頭に置き腹腔鏡補助下で盲腸部分切除を行った.villous tumorは虫垂全長から盲腸に存在し,組織学的検査では悪性像を認めなかった.虫垂villous tumorの診断に腹部超音波検査が有用であった.
索引用語
villous tumor of the appendix, ultrasonography, laparoscopy
日消外会誌 34: 1655-1659, 2001
別刷請求先
関野 考史 〒501-4222 岐阜県郡上郡八幡町島谷1264 郡上中央病院外科
受理年月日
2001年7月30日
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