症例報告
上行結腸原発低悪性度MALTリンパ腫の1例
渡辺 伸和, 武内 俊, 猪野 満, 舘岡 博, 大石 晋, 太田 栄, 小笠原 仁*, 田中 隆夫**
大館市立総合病院外科, 同 第2内科*, 同 病理**
上行結腸に発生した低悪性度MALTリンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は82歳の女性.右腹部腫瘤を指摘され精査を施行,上行結腸に隆起性腫瘍を認めた.生検の結果はno malignancyであったが,悪性リンパ腫も否定できず,また腫瘍により腸管内腔が狭窄を来すおそれがあるため,結腸右半切除術を施行した.病理診断にて上行結腸原発低悪性度MALTリンパ腫と診断した.術後化学療法は施行しなかった.消化管MALTリンパ腫のほとんどが胃原発である.大腸,特に上行結腸原発の低悪性度MALTリンパ腫の報告例はまれであり,標準的な治療法は確立していない.MALTリンパ腫は予後良好であると言われているが,リンパ節転移の可能性もあるため,手術は大腸癌に準じた治療が必要と考えられた.
索引用語
low-grade mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma, ascending colon
日消外会誌 34: 1660-1664, 2001
別刷請求先
渡辺 伸和 〒017-8550 大館市豊町3-1 大館市立総合病院外科
受理年月日
2001年7月30日
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