症例報告
十二指腸と横行結腸に瘻孔を形成した大腸癌膵頭部転移の1例
鈴村 潔, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 鈴木 正彦, 芥川 篤史, 菅原 元, 臼井 達哉
大垣市民病院外科
上行結腸癌に対する結腸右半切除後16か月目に十二指腸と横行結腸に瘻孔を形成した膵頭部転移巣の1切除例を経験した.症例は嘔気,嘔吐を主訴とした45歳の女性で,上部消化管造影X線検査で十二指腸の狭窄像を認めた.CTでは膵頭部から十二指腸第2部にかけ,中心壊死を伴った腫瘤性病変を認めた.血管造影では上腸間膜静脈に腫瘍による圧排所見を認めた.大腸癌膵転移と診断し回腸横行結腸吻合部切除,膵頭十二指腸切除,肝転移巣切除,上腸間膜静脈部分切除を行った.病理組織学的所見では,膵鉤部に直径約3cmの中心壊死を伴った転移性病変を認め,中心壊死部を介して十二指腸と横行結腸に瘻孔を形成していた.術後36病日に退院したが,肝転移により術後第192病日に死亡した.
索引用語
pancreatic tumor, pancreatic metastasis, recurrence of rectal cancer
日消外会誌 34: 1665-1669, 2001
別刷請求先
鈴村 潔 〒503-0864 大垣市南頬町4-86 大垣市民病院外科
受理年月日
2001年7月30日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|