症例報告
Hirschsprung病成人例の2手術例
谷脇 聡, 伊藤 寛, 全並 秀司, 山下 年成, 寺下 幸夫, 本多 弓尓, 江口 武史*
名古屋市立城北病院外科, 名古屋市立東市民病院外科*
Hirschsprung病(以下,本症)は,ほとんど,乳児期までに腹満,高度の便秘を契機に診断され,根治手術が施行される.今回,我々は本症成人例の2例を経験した.症例1は23歳の男性.便秘・腹満の増悪と腹痛により来院.症例2は47歳の女性.主訴は発熱,下痢,食欲不振.体重減少(9kg/2か月)を伴い,来院時,貧血と,糞便貯留による閉塞性腸炎の所見が著明で,他の炎症性腸疾患との鑑別を要した.2例とも,幼児期より高度の便秘がみられ,浣腸,下剤によりコントロールされていた.注腸造影X線検査で直腸下部にcaliber changeを認め,直腸肛門管内圧検査では内括的筋弛緩反射は見られなかった.手術は,Duhamel-池田法を行い,術後,症状は著明に改善した.小児外科が確立された現在,成人まで本症と診断されない症例は稀であるが,小児期から持続する難治性の便秘と巨大結腸像を認める症例では,本症を念頭においた検索が重要であると考えられた.
索引用語
Hirschsprung's disease, adult, obstructive colitis
日消外会誌 34: 1675-1679, 2001
別刷請求先
谷脇 聡 〒462-0033 名古屋市北区金田町2-15 名古屋市立城北病院外科
受理年月日
2001年6月26日
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