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第35巻 第1号 2002年1月 [目次] [全文 ( PDF 78KB)]
症例報告

カバー付きステントで治癒した特発性食道破裂の1例

赤池 英憲, 武藤 俊治, 宮坂 芳明, 羽田 真朗, 芦澤 一喜

山梨県立中央病院外科

 カバー付き食道ステントを用いて保存的に治癒しえた特発性食道破裂の1例を経験したので報告する.
 症例は45歳の男性.平成12年2月6日夜,飲酒後に嘔吐・吐血.その直後より左胸背部痛が出現したため救急当番病院受診.バイタルサインは落ち着いていたため入院し経過をみられた.翌日呼吸苦出現,精査の結果,特発性食道破裂と診断され当院転院.経皮的なドレナージが有効と予想されたため保存的に経過をみることとした.全身状態が軽快するのを待ち2月9日カバー付き食道ステントを挿入した.その後,全身状態は劇的に改善しステント挿入後14日目に食事開始となり,入院76日で退院となった.
 カバー付き食道ステントは,本来消化器系の悪性腫瘍による狭窄の改善等に用いられる器具であるが,本症例ではこれを用い全身状態の劇的な改善と絶食期間の大幅な短縮に成功した.

索引用語
spontaneous esophageal rupture, stent, conservative therapy

日消外会誌 35: 30-34, 2002

別刷請求先
赤池 英憲 〒409-3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科

受理年月日
2001年9月19日

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