症例報告
横行結腸に穿通し下血にて発症した膵仮性嚢胞内出血の1例
安藤 拓也, 榊原 堅式, 辻 秀樹, 西脇 巨記
トヨタ記念病院外科
症例は52歳の男性.1年前より膵仮性嚢胞を指摘されていた.1999年7月,下血にて当院入院.大腸内視鏡では脾彎曲部に凝血塊を認めたが,出血源は不明であった.腹部CTでは膵尾部に径約4cmの嚢胞を認め,内部にガス像がみられた.嚢胞はUSではモザイク様であった.ERCPでは膵管の不整狭窄像と膵管末梢部で嚢胞への造影剤の漏出を認めた.血管造影で脾動脈に動脈瘤を認めた.以上より,膵仮性嚢胞内出血が横行結腸に穿通したことによる下血と診断し,8月2日膵体尾部切除,脾,横行結腸合併切除術を施行した.病理検査では嚢胞と横行結腸に瘻孔を認め,脾動脈は嚢胞内に破裂し仮性動脈瘤を形成していた.術後経過は良好であった.膵仮性嚢胞が横行結腸に穿通した例は本邦報告例は自験例を含めて4例のみであり,極めてまれな1例を経験したので報告する.
索引用語
hemorrhagic pancreatic psuedocyst, gastrointestinal bleeding, psuedoaneurysm
別刷請求先
安藤 拓也 〒473-0926 豊田市駒新町金山1-12 中野胃腸病院外科
受理年月日
2001年9月19日
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