症例報告
膵体尾部低形成症に合併した腫瘤形成性膵炎の1例
勅使河原 修, 井上 総一郎, 山下 克也, 中山 茂樹, 杉本 博行, 竹田 伸, 金子 哲也, 原田 明生, 中尾 昭公
名古屋大学大学院医学研究科病態制御外科学
広義の膵体尾部欠損症に腫瘤形成性膵炎を合併した1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性.上腹部痛を主訴に近医を受診し膵頭部腫瘍を指摘され,加療目的で当科入院となった.腹部超音波検査・腹部CTで膵頭部の腫瘍性病変と膵体尾部欠損症を指摘された.ERCP・上部消化管超音波内視鏡で膵癌が強く疑われたため膵全摘十二指腸切除術を施行した.術中所見では,全体に硬化した膵組織と膵体尾部の欠損を認めた.欠損部には脂肪組織に置換したと思われる部分は認めず,脾動静脈は完全に露出していた.術後の病理組織学的検査で膵頭部の腫瘍は腫瘤形成性膵炎と診断された.術前検査で副膵管の存在が確認されており,pancreatic polypeptideを用いた免疫染色で背側膵原基の存在が確認された.以上から本症例は膵体尾部低形成症に腫瘤形成性膵炎が合併したものと考えられた.
索引用語
pancreatitis with pseudotumor, dysplasia of pancreatic body and tail
別刷請求先
勅使河原 修 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部大学院機能構築医学専攻病態制御外科学
受理年月日
2001年9月19日
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