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第35巻 第1号 2002年1月 [目次] [全文 ( PDF 57KB)]
症例報告

経イレウス管バンコマイシン投与が有効であった術後Clostridium difficile腸炎の1例

石黒 成治, 森浦 滋明, 小林 一郎, 田畑 智丈, 松本 隆利, 佐藤 太一郎

八千代病院外科

 症例は82歳の男性.内視鏡的胆管造影で肝門部胆管癌と診断された.閉塞性化膿性胆管炎を合併し,開腹ドレナージを施行した.術後8日目頻回の下痢を認め,Clostridium difficile(以下,C. difficileと略記)のtoxinAが検出されたためVancomycin(以下,VCMと略記)の経口投与を開始した.投与後4日目激しい腹痛と腹部膨満を認め,腹部単純X線では麻痺性イレウスの像を呈した.イレウス管を挿入し経イレウス管的にVCMを投与した.翌日には症状が劇的に改善し,イレウス管挿入後6日目toxinAの陰性を確認してイレウス管を抜去した.C. difficile腸炎の治療にはVCMの経口投与が有効である.しかし,炎症が激しく麻痺性のイレウスが呈している際には罹患部に十分届かない.その際には,経イレウス管的VCM投与は非常に有効な手段である.

索引用語
clostridium difficile enterocolitis, long intestinal tube, vancomycin

日消外会誌 35: 92-96, 2002

別刷請求先
石黒 成治 〒446-8510 安城市東栄町1-10-13 八千代病院外科

受理年月日
2001年9月19日

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