症例報告
横行結腸軸捻転症の1例
山成 英夫, 島山 俊夫, 櫻井 俊孝, 金丸 幹郎, 森 洋一郎
宮崎市郡医師会病院外科
症例は32歳の女性で,腹痛,嘔吐,腹部膨隆を主訴に当院に入院となった.既往歴に,生下時より脳性麻痺,精神遅滞あり.腹部単純X線検査にて上行結腸,横行結腸の著明な拡張が見られた.注腸造影検査にて,横行結腸左側で造影剤の途絶を認め,bird-beak signが見られたため横行結腸軸捻転症と診断し,緊急手術を行った.横行結腸は腸間膜を軸として180度捻転していた.腸管の虚血性変化は見られなかったが,再発の危険性を考慮し捻転部の横行結腸を切除したのち一期的に端々吻合を行った.横行結腸軸捻転症はまれな疾患であり,各種結腸軸捻転症の約4%とされている.また,本邦報告例36例中14例,39%に脳性麻痺や精神運動遅滞を合併していた.これらの疾患では消化管の運動が不十分となりやすく,便秘を伴っていることが多い.慢性の腸管運動障害を背景として発症した結腸軸捻転症では,捻転解除のみでは再発率が高く,積極的な腸切除術が必要と考える.
索引用語
transverse colon volvulus, volvulus of the transverse colon, cerebral palsy
別刷請求先
山成 英夫 〒880-0834 宮崎市新別府町船戸738-1 宮崎市郡医師会病院外科
受理年月日
2001年9月19日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|