原著
腫瘤形成型肝内胆管癌の外科治療における血清CA19-9測定の有用性
松村 直樹, 山本 雅一, 高崎 健
東京女子医科大学消化器外科
はじめに:腫瘤形成型肝内胆管癌切除例における術前血清CA19-9値と臨床病理学的因子,および切除成績との関連性を検討した.方法:当科で肝切除を行った腫瘤形成型肝内胆管癌50例を対象に,術前血清CA19-9値と各因子の関係を統計学的に比較検討した.結果:術前血清CA19-9値は50例中27例(54%)が陽性(≧37U/ml)であった.CA19-9陽性率と性比,年齢,肝炎ウイルス,肝硬変,腫瘍径,腫瘍分化度との間に関連性は認めなかった.リンパ節転移,肝内転移,門脈侵襲とCA19-9陽性率に関連性がなかったが,術前血清CA19-9値が100U/ml以上で門脈侵襲(P=0.0439),200U/ml以上でリンパ節転移(P=0.0404),500U/ml以上で肝内転移(P=0.0304)が有意に多く認められた.各因子による単変量解析において,術前血清CA19-9値は切除成績と有意な関連があり,CA19-9陰性例の5年生存率は0.442で,陽性例は0.183であった(P=0.0184).また,多変量回帰分析においても術前血清CA19-9値は独立した予後因子と判定された(P=0.0398).考察:腫瘤形成型肝内胆管癌において術前血清CA19-9値は,癌の進展様式や予後の推定に有用と考えられた.
索引用語
mass-forming intrahepatic cholangiocarcinoma, carbohydrate antigen 19-9, sialyl-Lewis A (Lea), prognostic factor
別刷請求先
山本 雅一 〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
2001年10月31日
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