大腸癌肺転移症例の手術治療成績

藤田　秀人, 薮下　和久, 吉岡　伊作, 井口　雅史, 岩田　啓子, 鰺坂　秀之, 山本　精一, 加治　正英, 前田　基一, 小西　孝司

富山県立中央病院外科

　はじめに：大腸癌肺転移症例の予後因子を明らかにすることを目的に検討を行った．方法：当院で経験した肺転移診断30症例を対象として臨床病理学因子と治療成績について検討した．対象症例の原発巣切除から肺転移診断までの無病期間の中央値は24か月であった．症例には肝転移切除後の8例および脳転移切除後の1例の計9例の肺外転移の既往を持つ症例がふくまれた．結果：全症例の5年生存率は34.5％であった．予後に対する単変量解析では，年齢，性，術式，転移，個数，転移部位，腫瘍最大径，組織型，肺所属リンパ節転移の有無，術前のCEA値，無病期間，肺外転移既往の有無，原発部位，原発病期の各因子中，転移個数，転移部位，肺所属リンパ節転移の3因子に有意差を認めた．おのおのの5年生存率は，転移個数では単発59.3％/多発0％，転移部位では片側51.2％/両側0％，肺所属リンパ節転移では転移なし49.1％/あり20.8％であった．その他の因子は予後と相関が認められなかった．多変量解析では転移個数のみが独立した予後因子として選択された．考察：大腸癌肺転移例に対する肺切除は肺外転移の既往があっても良好な予後が期待できる症例があり，有効な治療法であると考えられた．予後因子としては肺転移個数が最も重要である．

索引用語
pulmonary metastases, colorectal cancer, prognosis

別刷請求先
藤田　秀人　〒930-8550　富山市西長江2-2-78　富山県立中央病院外科

受理年月日
2001年10月31日

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