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第35巻 第2号 2002年2月 [目次] [全文 ( PDF 84KB)]
症例報告

胸腔鏡下に根治手術を行いえた先天性食道気管支瘻の1例

谷川 隆彦, 黒川 英司, 木村 豊, 林 太郎, 浦野 尚美, 加藤 健志, 遠藤 和喜雄, 山本 仁, 吉川 宣輝

箕面市立病院外科

 症例は59歳の女性.1997年の検診時に上部消化管造影で,食道憩室を指摘されていた.1998年9月,約2週間の咳と痰が持続し,胸部X線検査にて右下肺野に浸潤陰影が認められ,肺炎と診断された.抗生剤投与により肺炎は軽快したが,食道造影および胸部CT検査により食道気管支瘻が認められたため,外科的治療を目的として入院となった.CT画像上,肺および憩室・瘻孔周囲の炎症所見は軽度であったため,胸腔鏡下に1期的根治手術を行った.憩室の露出は比較的容易でStaplerを用いて憩室切除を行った.術後合併症は認めず,予後も良好であった.手術所見および病理所見から,本症は先天性食道気管支瘻と診断された.これまで,開胸手術による憩室瘻管切除術が主として行われているが,本症例の経験より,先天性食道気管支瘻の外科的治療において胸腔鏡下憩室切除術も術式の1つになりうると考えられた.

索引用語
esophagobronchial fistula, esophageal diverticulum, thoracoscopic surgery

日消外会誌 35: 151-155, 2002

別刷請求先
谷川 隆彦 〒562-8562 箕面市萱野5-7-1 箕面市立病院外科

受理年月日
2001年10月31日

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