症例報告
虫垂切除術後遺残虫垂炎の4例
鯵坂 秀之1)2), 坂東 悦郎2), 安居 利晃2), 藤田 秀人2), 加治 正英2), 木村 寛伸2), 前田 基一2), 薮下 和久2), 小西 孝司2)
富山県立中央病院救命センター科1), 同 外科2)
1995年4月~2000年9月の虫垂炎手術390例中,虫垂切除術(以下虫切)の既往のある4例(1.0%)を経験した.内訳は(1)53歳男性(44歳時虫切),(2)42歳女性(8歳時虫切),(3)52歳女性(22歳時虫切),(4)58歳男性(40歳時虫切)である.全例右下腹部痛で発症し,初診時保存的加療で経過観察されていた.手術適応決定には全例CTが用いられ,術前診断は症例(2)の遺残虫垂炎以外回盲部膿瘍であった.発症から手術までは症例(1)から順に1か月,3日,10日,17日で,全例回盲部切除術が施行された.切除標本の病理検索にて虫垂切除術の遺残虫垂炎と診断された.虫垂切除術の既往のある急性腹症に遭遇した場合遺残虫垂炎も鑑別診断にあげるべきであるが,その確定診断は炎症が虫垂に限局している時点では困難である.初回虫垂切除術で遺残虫垂をなくし遺残虫垂炎を予防することが重要であると考える.
索引用語
appendectomy, stump appendicitis, recurrent appendicitis
別刷請求先
鯵坂 秀之 〒930-8550 富山市西長江2-2-78 富山県立中央病院救命センター科外科
受理年月日
2001年10月31日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|