門脈ガス血症を伴った下行結腸穿孔の1例

築野　和男, 丸山　正董, 山崎　達雄, 小川　展二, 古川　俊隆

丸山記念総合病院外科

　門脈ガス血症を合併した虚血性大腸炎による下行結腸穿孔の1例を経験した．症例は85歳の女性．腹痛を主訴に近医を受診し，浣腸処置を受けたが，腹痛の増強があり，当院緊急入院した．徐々に腹痛の増強と腹部所見の悪化を認め，腹部CT検査上，門脈ガス，腹腔内遊離ガス，腹水，下行結腸周囲のガス，腸管壁の肥厚像，腸管内出血の存在から，下行結腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した．結腸左半切除，人工肛門造設，ドレナージを施行した．術後は血液凝固異常，腹壁の感染を認めたが経過良好にて退院となった．本症例の血液検査所見，CT検査所見，病理所見から門脈ガス血症の発生機序やその影響について考察するとともに，本邦報告例の検討を加え報告した．

索引用語
hepatic portal venous gas, colon perforation, ischemic colitis

別刷請求先
築野　和男　〒339-8521　岩槻市本町2-10-5　丸山記念総合病院外科

受理年月日
2001年10月31日

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