臨床経験
特発性血小板減少性紫斑病に対する腹腔鏡下脾摘術の有用性:開腹術との比較
神野 浩光, 板野 理, 八木 洋, 小林 直之, 鈴木 文雄, 大高 均, 村上 博*
国家公務員共済組合連合会立川病院外科, 同 内科*
特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)に対する腹腔鏡下脾摘術(laparoscopic splenectomy:LS)は開腹脾摘術(open splenectomy:OS)に代わる手術となりつつある.今回,我々が経験したLSをOSと比較し,LSの有用性について検討した.1997年2月から2001年4月までに経験したLS14例とOS7例を対象とした.手術時間はLS:185分,OS:116分とLSにおいて有意に延長していた(p<0.01).出血量には差を認めなかった.鎮痛剤使用回数はLS:2回,OS:4.5回とLSにおいて少なく(p<0.01),離床日,経口摂取開始日はそれぞれLS:1.4日,2.1日,OS:3.8日,5.2日とLSにおいて早期であった(p<0.01).術後在院日数はLS:10.9日,OS:15.7日とLSが有意に短縮していた(p<0.01).LSはOSに代わりうる有用なITPに対する治療法となる可能性が示唆された.
索引用語
laparoscopic splenectomy, idiopathic thrombocytopenic purpura
別刷請求先
神野 浩光 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
2001年10月31日
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