原著
年齢からみた閉塞性大腸癌の特徴
保田 尚邦, 諸原 浩二, 御子神 哲也, 神山 陽一, 渡辺 健一, 樋渡 克俊, 草野 満夫*
伊勢崎市民病院外科, 昭和大学一般消化器外科*
はじめに:年齢からみた閉塞性大腸癌症例の特徴を明らかにするために非閉塞症例と比較し検討した.方法:1981年1月から1999年12月までに当科で経験した大腸癌手術症例550例を対象とした.閉塞群は48例で,80歳以上が8例,70歳台7例,60歳台15例,59歳以下40歳以上が18例であった.mp以深の非閉塞群は413例であった.両群間で臨床病理学的因子,治療成績について比較検討を行った.結果:80歳以上の閉塞群で女性が有意に多かった.59歳以下の閉塞群で術前CA19-9の陽性率と値はそれぞれ66%,277.3ng/dlと非閉塞群に比べて有意に高く,特にDukes’ CおよびDで陽性率は71%と高率であった.閉塞群における根治度Cの割合は60歳台,59歳以下でそれぞれ33%,56%と非閉塞群と比べ有意に高く,また全体でも42%と有意に高く認められた.累積5年生存率に関して,年齢別では比較的Dukes’ D症例が多く認められた閉塞群の59歳以下で有意に低率であり,全体においても非閉塞群と比べ有意に低率であった.しかし根治度Aが施行されることにより59歳以下でも他の年齢と同様に非閉塞群と同程度の予後が期待された.考察:閉塞性大腸癌症例に対しても,可能な限り根治度を高めた積極的な外科治療と厳重な術後観察を行うことと,また特に59歳以下の比較的若年者例に対しては積極的な集学的治療をすることが閉塞性大腸癌症例に対する外科治療成績の向上に重要と考えられた.
索引用語
obstructive colorectal carcinoma, age group
別刷請求先
保田 尚邦 〒372-812 伊勢崎市連取町1180 伊勢崎市民病院外科
受理年月日
2001年11月27日
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