症例報告
閉塞性黄疸をきたした胆管内発育型肝細胞癌の1切除例
田中 守嗣, 竹山 廣光, 真下 啓二, 山本 稔, 岡田 祐二, 早川 哲史, 赤毛 義実, 真辺 忠夫
名古屋市立大学第1外科
症例は64歳の男性.心窩部痛と黄疸を主訴として来院した.1985年に胆嚢総胆管結石にて手術施行.ウイルス肝炎マーカーは陰性で,AFP 43ng/ml,CA19-9 894U/ml,DUPAN2 470U/ml,PIVKA-2 13.1AU/mlであった.腹部USでは,肝内胆管の拡張と肝門部に高エコーな腫瘤を認め,経皮経肝胆道ドレナージを施行した.胆管造影では,肝門部左肝管から,右肝管,総肝管,総胆管にかけ陰影欠損を認めた.CTでは,S4に不均一に造影されるSOLを,拡張した総胆管内部に,一部造影される腫瘤を認めた.腹腔動脈造影では,肝動脈内側枝にわずかにtumor stainを認めた.肝門部胆管癌と診断し,左尾状葉合併肝左葉切除術を施行したところ,術後病理組織学的検査でS4原発の肝細胞癌と判明した.本症例はいわゆる胆管内発育型肝細胞癌であるが,肝切除例の報告は比較的少ない.根治手術により予後の向上が期待できるものと思われた.
索引用語
icteric hepatoma, obstructive jaundice, hepatectomy
別刷請求先
田中 守嗣 〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1 名古屋市立大学第1外科
受理年月日
2001年12月12日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|