症例報告
Malignant hemangiopericytomaの多発性肝転移に対しTAEとラジオ波凝固療法の併用が著効した1例
近藤 昌平, 小野寺 久, 海道 利実, 山崎 誠二, 今村 正之
京都大学医学研究科腫瘍外科
症例は55歳の男性.後腹膜腔原発のmalignant hemangiopericytoma(MHP)切除後6年の経過中に,肝,腎,小脳,膀胱,肺,坐骨,肩甲骨,副腎,殿筋へ多発性転移をきたした.これらの転移巣に対し,患者のQOLを考慮しながら可能な限り切除や放射線療法を行い,病勢をコントロールしてきた.肝転移については,初回の肝転移に対して,右葉切除を行った.さらに2年後に残肝に生じた多発性転移に対して,本腫瘍がhypervascularであることを考慮に入れ,TAEを行い,ほとんどの転移腫瘍は完全壊死した.完全壊死に至らなかった転移腫瘍に対しラジオ波凝固療法を行い,すべての転移腫瘍は消失した.以後,21か月経過観察中であるが,新たな肝転移を認めていない.外科的切除の適応のないMHPの肝転移に対してTAEは第1に選択すべき治療法であり,またラジオ波凝固療法を併用することで,より高い治療効果を得られることが考えられた.
索引用語
malignant hemangiopericytoma, TAE, radiofrequency ablation
別刷請求先
近藤 昌平 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学研究科腫瘍外科
受理年月日
2001年11月27日
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