胆嚢炎に併発し特異な形態を呈したbilomaの1例

阪本　研一, 広瀬　一, 山田　卓也, 安村　幹央, 森　美樹, 島本　強, 仁田　豊生, 二村　直樹, 下川　邦泰^＊　　

岐阜大学第1外科, 同　臨床検査医学^＊

　胆嚢炎に併発し特異な形態を呈したbilomaの1例を経験した．症例は64歳の男性．2か月前に右上腹部痛と発熱で発症し無石胆嚢炎と診断され保存的治療で軽快したが，原因の精査目的で来院した．胆嚢頸部に隣接し肝との境界明瞭な4.5×2.0cm大の嚢胞性病変を認めた．超音波検査で嚢胞内腔に長径1.4cmの周囲高エコー内部無エコーなリング状構造物を認め，胆道造影検査では胆嚢管の圧排像と胆嚢管から胆嚢頸部の頭側に淡く造影される部分を認めた．重複胆嚢もしくは胆嚢炎によるbilomaを疑い，嚢胞性病変を含めた開腹胆嚢摘出術を施行した．胆嚢管から胆嚢頸部の腹側に黒褐色漿液性内容を含む嚢胞性腫瘤を認めた．嚢胞は胆嚢粘膜，筋層を有さず線維性組織から形成され，内面に壊死組織からなる粗大顆粒状隆起を認め，bilomaと診断した．

索引用語
biloma, cholecystitis

別刷請求先
阪本　研一　〒500-8705　岐阜市司町40　岐阜大学医学部第1外科

受理年月日
2001年11月27日

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