症例報告
Press-through-package誤飲による回腸穿孔性腹膜炎の1例
松村 博臣, 泉 浩, 土橋 洋史, 柿原 直樹, 飯塚 亮二, 宮田 圭悟, 井川 理, 藤井 宏二, 高橋 滋, 竹中 温
京都第二赤十字病院外科
Press-through-package(PTP)誤飲による穿孔性腹膜炎の1例を経験した.症例は77歳の男性.下腹部痛を主訴に来院.腹部CTにて大腸憩室と腹水を認め,開腹術を行った.しかし大腸憩室の穿孔はなく,空腸にPTPによる穿孔が認められたため,楔状切除した.PTP誤飲による消化管穿孔は,患者の誤飲認識が無い場合が多く,診断に難渋する.そこで誤飲されたPTPが,CT上どのように描出されるかについての実験的検討を行った.円筒型の腸管モデルを作製し,中にPTPを入れてCTを2方向で撮影した.PTPは内側からhigh,low,ややlow densityという3層のターゲット状の像を呈した.このようにPTP誤飲による穿孔性腹膜炎の診断において腹部CTは有用である.穿孔が疑われた場合は,手術の適応になる.誤飲を防止するには,患者の啓蒙やPTPの材質の改良が大切である.
索引用語
press-through-package, perforation of the small intestine, phantom experiment
別刷請求先
松村 博臣 〒602-8026 京都市上京区釜座通丸太町上ル春帯町355-5 京都第二赤十字病院外科
受理年月日
2001年12月12
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