症例報告
大量下血をきたした空腸粘膜下動脈瘤破裂の1例
成田 公昌, 杉平 宣仁, 山村 剛司, 増田 亨, 矢野 秀, 坂倉 究
三重県立総合医療センター外科
症例は18歳の女性.主訴は多量下血,ショック.胃内視鏡,大腸内視鏡では出血源は不明であった.保存的療法を行いつつ2度腹部血管造影を行ったが出血源は不明であった.出血が続くため試験開腹術を施行した.手術所見ではTreitz靭帯より約90cm肛門側の空腸に直径1cmの粘膜下腫瘤様の硬結を認め,同部の部分切除を行った.最終診断は病理学的に空腸粘膜下動脈瘤破裂であったことが判明した.術後経過は良好で2週間後に退院した.最近の小腸粘膜下動脈瘤破裂の報告例では腹部血管造影,消化管出血シンチグラフィーにて出血部位が同定できたとの報告も見られるが,本症例のように止血時には腹部血管造影でも出血部位は確認出来ないため,若年者の原因不明の多量止血を認めた場合,時期を逸することなく試験開腹を行うべきと思われた.
索引用語
submucosal aneurysm, massive bleeding, abdominal angiography
別刷請求先
成田 公昌 〒514-8507 津市江戸橋2-174 三重大学第2外科
受理年月日
2001年11月27日
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