症例報告
小腸腸間膜線維腫症の1例
坂野 比呂志, 久保田 仁, 上松 俊夫, 黒柳 裕, 鈴木 秀昭, 石川 和夫, 成田 裕司
半田市立半田病院外科
症例は58歳の女性.腹部腫瘤を自覚し,受診した.臍部に直径約4cmの腫瘤を触知した.腹部US,CT,MRIなどから腸間膜原発の腫瘍と診断し,開腹術を施行した.腫瘍は空腸間膜に存在し,4.5×4.5×4.5cm大,ほぼ球状で割面は充実性であった.病理組織学的に腸間膜線維腫症と診断された.術後1年1か月を経て無再発生存中である.
腸間膜線維腫症は家族性大腸腺腫症の患者や開腹手術の既往のある患者に発生することが多い.それらを認めない単独発生例は極めてまれであり,我々の検索しえた限りでは,本邦報告例は自験例を含め25例に過ぎなかった.今回,我々は小腸間膜より単独発生した腸間膜線維腫症の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
索引用語
mesenteric fibromatosis, desmoid tumor
別刷請求先
坂野 比呂志 〒509-9293 岐阜県恵那郡坂下町坂下722-1 国民健康保険坂下病院外科
受理年月日
2001年11月27日
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