症例報告
虫垂クローン病の1例
二村 直樹, 名知 祥, 廣田 俊夫, 阪本 研一, 市橋 正嘉, 多羅尾 信
羽島市民病院外科
症例は48歳の女性で,右下腹部痛を主訴に受診した.右下腹部に圧痛を認めるが腹膜刺激症状はなく,白血球数は正常であった.注腸造影X線検査では虫垂の部分的描出と虫垂開口部周囲の盲腸に壁不整を認めた.大腸内視鏡検査では虫垂の開口部に発赤した隆起を認めた.同部位からの生検では炎症細胞浸潤が著明でLanghans型巨細胞が1個認められた.虫垂の肉芽腫性炎症,あるいは虫垂腫瘍の診断で手術を行った.手術所見では虫垂根部に小指頭大の腫瘤を触知し,回盲部切除術を行った.摘出標本では虫垂入口部に2個の小隆起があり,その部から約12mmにわたって縦走潰瘍が認められた.病理組織検査では全層性炎症,裂溝,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,クローン病と診断された.本症例は術前生検から虫垂クローン病を疑うことが可能であった.
索引用語
Crohn's disease, appendix, granulomatous appendicitis
別刷請求先
二村 直樹 〒501-6206 羽島市新生町3-246 羽島市民病院外科
受理年月日
2001年11月27日
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