側副血行路を温存した左腎静脈合併切除術により根治的切除術を施行しえた後腹膜原発平滑筋肉腫の1例

橘高　信義, 近藤　礎, 中森　正二, 池永　雅一, 永野　浩昭, 堂野　恵三, 梅下　浩司, 若狭　研一^＊, 左近　賢人, 門田　守人　

大阪大学大学院医学系研究科病態制御外科学, 大阪市立大学病院病理部^＊

　症例は69歳の女性で，左上腹部痛を主訴に来院した．術前のCTでは，腫瘍は膵尾部の背側に径8cm大の充実性腫瘤として描出された．腹部血管造影では，左腎静脈は腫瘍により閉塞され，血流は下大静脈には流入せず，半奇静脈に流入していた．以上より，左腎静脈への浸潤を疑う後腹膜腫瘍と診断し，半奇静脈への交通枝を温存し，左腎静脈を合併切除する腫瘍摘出術を施行した．術後の組織学的検索では，腫瘍は核の大小不同をともなう紡錘状の細胞からなり，平滑筋アクチン陽性，デスミン陽性，S-100陰性，c-kit陰性で，後腹膜原発の平滑筋肉腫と診断された．術後経過は良好で，腎機能障害を認めず，18か月経過した現在，再発の徴候を認めていない．

索引用語
retroperitoneal leiomyosarcoma, left renal vein resection

別刷請求先
中森　正二　〒565-0871　吹田市山田丘2-2，E-2　大阪大学大学院医学系研究科病態制御外科学

受理年月日
2001年11月27日

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