症例報告
肝細胞癌とホルモン産生副腎腺腫の重複腫瘍の1例
山中 秀高, 西垣 英治, 岡島 明子, 杉浦 友則, 川井 覚, 岡田 禎人, 北川 喜己, 河野 弘, 松浦 豊
名古屋掖済会病院外科
今回,肝細胞癌とアルドステロン産生副腎腺腫のまれな重複例を経験したので報告する.症例は64歳の男性.心筋梗塞,狭心症で入院中,血液検査で高Naと低K血症,肝機能異常,HCV陽性,PIVKA-IIの高値を認めた.ホルモン検査,立位負荷やACE阻害剤負荷試験で不応性の低レニン血症と高アルドステロン血症を認めた.腹部CT検査で肝S8と左副腎に造影される腫瘤を,腹部血管造影検査で肝S8に腫瘍濃染像を,副腎シンチで左副腎のhot tumorを認めた.肝硬変合併肝細胞癌およびアルドステロン産生副腎腺腫と診断した.心筋梗塞,狭心症治療中,肝細胞癌は動脈塞栓術,Conn's症候群は投薬治療で経過観察し,心機能の安定後,肝前区域切除術,左副腎全摘出術を施行した.摘出標本で肝細胞癌と左副腎腺腫と診断され,非腫瘍部肝は乙’型肝硬変であった.肝硬変合併肝細胞癌では続発性アルドステロン症による副腎病変も念頭に置くべきと思われた.
索引用語
Conn's syndrome, secondary aldosteronism, hepatocellular carcinoma
別刷請求先
山中 秀高 〒454-8502 名古屋市中川区松年町4-66 名古屋掖済会病院外科
受理年月日
2002年1月30日
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