症例報告
右中肝静脈から下大静脈への腫瘍栓を伴った肝細胞癌の1例
松山 隆生, 角 泰廣, 澤田 傑, 村瀬 勝俊, 吉田 直優, 尾関 豊
国立東静病院外科
右中肝静脈から下大静脈への腫瘍栓を伴う肝細胞癌を経験したので報告する.症例は51歳の男性.1997年7月からB型肝硬変と肝細胞癌のため近医で内科的治療を繰り返されていた.2000年7月の腹部CTで肝S7に3cm大の再発腫瘍と,右中肝静脈から連続して下大静脈にわずかに突出する腫瘍栓を認めた.8月の腹部MRIでは腫瘍栓は下大静脈内に約4cm進展していた.8月18日に肝右葉切除術とtotal hepatic vascular exclusionを用いた下大静脈腫瘍栓摘出術を施行した.術後経過は順調で第24病日に退院した.下大静脈に進展した肝細胞癌であっても,根治切除が可能であれば十分に延命効果が期待でき,また根治切除でなくとも患者のQOLを著しく改善できる可能性があるので積極的な対応が必要と考える.
索引用語
hepatocellular carcinoma, tumor emboli, middle right hepatic vein
別刷請求先
松山 隆生 〒411-8611 静岡県駿東郡清水町長沢762-1 国立東静病院外科
受理年月日
2002年1月30日
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