症例報告
胆嚢癌を合併した胆嚢胃瘻の1例
田中 基文, 金丸 太一, 田中 賢一, 井上 和則, 山本 正博, 出射 由香*
神戸労災病院外科, 同 病理部*
胆嚢癌を合併した胆嚢胃瘻の1切除例を報告する.症例は74歳の男性.嘔気,嘔吐を主訴に他院を受診し,検査にて内胆汁瘻を疑われ当院に転院となった.上部消化管内視鏡にて幽門部に嵌頓する結石を認め,また腹部単純CTおよび腹部超音波検査では胆嚢内に結石像を認め,胆嚢と胃の境界は不明瞭であった.以上より胆嚢胃瘻による幽門部での胆石の嵌頓と診断し,開腹手術を施行した.胆嚢は肝十二指腸間膜および胃幽門部と強固に癒着しており,幽門小彎前壁に瘻孔を形成し,胃内には幽門部に嵌頓する径約4cmの結石を認めた.胆摘,瘻孔切除および胃壁欠損部の閉鎖を行った.なお術後の病理学的検索にて,胆嚢頸部から体部にかけての粘液腺癌が認められ,深達度は漿膜下層であった. 胆嚢胃瘻は,内胆汁瘻に占める割合が約4%とされる比較的まれな疾患であり,さらに胆嚢癌を合併した症例は極めて少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
cholecystogastric fistula, internal biliary fistula, gallbladder carcinoma
別刷請求先
田中 基文 〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学大学院医学系研究科消化器外科
受理年月日
2002年1月30日
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