症例報告
空腸壊死で発症したsegmental arterial mediolysisの1例
吉田 貢一, 山田 哲司, 森田 克哉, 中村 寿彦, 八木 真悟, 北川 晋, 中川 正昭, 関 雅博1), 片柳 和義2), 車谷 宏2)
石川県立中央病院一般消化器外科, 同 心臓血管外科1), 同 病理科2)
症例は51歳の男性.腹痛を主訴に来院し麻痺性腸閉塞の診断で入院したが,保存的治療により改善せず手術を選択した.トライツ靭帯から約40cmにわたる空腸に斑状の全層壊死を認め,小腸部分切除術を施行した.術後の血管造影では上腸間膜動脈,および下腸間膜動脈領域の多発性動脈瘤を認めた.膠原病の検索では陰性であった.術後43日目に血行再建術を施行した.切除された動脈瘤の病理学的所見で中膜の分節状の欠損を認め,segmental arterial mediolysisと診断した.腹部大動脈臓器分枝動脈瘤の診断に際してはsegmental arterial mediolysisの可能性を念頭に置き,より広範な動脈領域の検索が必要であると考え,血行再建術についても積極的に検討すべきであると考えた.
索引用語
segmental arterial mediolysis, aneurysm, acute abdomen
別刷請求先
吉田 貢一 〒927-0027 石川県鳳至郡穴水町川島タの8 公立穴水総合病院外科
受理年月日
2001年12月12日
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