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第35巻 第4号 2002年4月 [目次] [全文 ( PDF 104KB)]
症例報告

リンパ節転移を伴った直径8mmの回腸終末部カルチノイドの1例

鈴置 真人1)3), 菱山 豊平1), 中村 豊1), 平 康二1), 竹内 幹也1)3), 橋本 裕之1)3), 安藤 政克2), 近藤 哲3), 加藤 紘之3)

旭川赤十字病院外科1), 同 病理2), 北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科3)

 症例は54歳の男性.便潜血反応陽性を指摘され,近医を受診した.下部消化管内視鏡検査にて結腸に多数のポリープと回腸終末部に径8mmの粘膜下腫瘍様病変が認められ,生検の結果,回腸終末部の病変はカルチノイド腫瘍と診断された.当科を紹介され,入院の後に回盲部切除を施行した.切除標本において腫瘍径は8×7mm,病理組織検査では深達度は粘膜下層深部,所属リンパ節に1個の転移を認めた.
 回腸カルチノイドは本邦ではまれであり,本症例はリンパ節転移を伴った例の腫瘍径としては最小であった.一方,小腸カルチノイドの報告の多い欧米では,腫瘍径が10mm未満の症例のうち約20%にリンパ節転移が認められるとされている.これらから腫瘍径が小さい症例においても,リンパ節転移を念頭に置いた術式の選択が重要であると考えられた.

索引用語
ileal carcinoid, ileal carcinoid lymph node metastasis

日消外会誌 35: 423-426, 2002

別刷請求先
鈴置 真人 〒060-8648 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科

受理年月日
2002年1月30日

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