症例報告
播種性骨髄癌症を来した上行結腸癌の1例
中澤 哲*, 梁 英樹, 吉田 一成, 秋山 和宏, 山下 由紀, 亀岡 信悟*
至誠会第二病院外科, 東京女子医科大学第2外科*
消化器癌の転移様式のなかで骨髄転移はまれであり,中でも大腸癌を原発とした播種性骨髄癌症の報告は極めて少ない.今回,われわれは同時性肝転移を有する上行結腸癌の原発巣術後,急激な転帰で死亡した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は57歳の女性.1か月来,腹部膨満を訴えイレウス状態で入院した.肝転移(H1)を伴う上行結腸癌と診断,まずイレウス解除を目的に右半結腸切除術施行した.術後1週より38度台の発熱が続き,腰~大腿部痛を訴え,LDH,ALPの著名な上昇を認めたため骨シンチグラフィーを施行,多発骨転移と診断した.3週目には出血傾向が出現,末梢血中に骨髄芽球を認め,骨髄生検にて骨髄転移を診断した.その後,急速にDICに移行し術後53日目に死亡した.1979年から2001年までの22年間における医学中央雑誌を検索した限り,分化型大腸癌の骨髄癌症の報告は本邦初例であった.
索引用語
colon cancer, disseminated carcinomatosa of bone marrow, disseminated intravascular coagulation syndrom
別刷請求先
中澤 哲 〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学第2外科
受理年月日
2002年1月30日
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