症例報告
イレウス管が誘因となった結腸癌術後成人型腸重積症の1例
窪田 公一1)2), 高橋 弘1)2), 小川 健治2), 芳賀 駿介2), 梶原 哲郎2)
流山中央病院外科1), 東京女子医科大学附属第二病院外科2)
イレウスで発症した結腸癌の術後に,減圧目的で留置中のイレウス管が誘因で腸重積症を発生した症例を経験したので報告する.
症例は52歳の女性で,腹痛と嘔吐で入院した.腸閉塞症状のためにイレウス管を挿入し,結腸癌に対して左結腸切除術を行った.イレウス管はバルーン解除のまま先端を回腸末端部に留置し,術後4日目に排ガスの確認後に抜去した.同日夜間に嘔吐が出現し左腹部に膨隆と圧痛を認めた.イレウス管の再挿入時の造影で空腸の術後腸重積症と判断された.開腹所見では順行性3筒性腸重積を認めた.腸重積は用手整復可能で同部位に腫瘤,癒着,捻れなどなく,血行障害もなかった.
自験例は順行性でイレウス管抜去直前の空腸の伸展が腸重積部位に一致することより,イレウス管の留置中に発生し,術中所見やイレウス管との位置関係より,口側空腸の蠕動運動による輪状筋の痙性収縮が弛緩した肛門側空腸に嵌入して発生したと考えられた.
索引用語
adult type intussusception, intussusception induced by ileus tube, intussusception after operation of colon cancer.
別刷請求先
窪田 公一 〒116-8567 東京都荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学附属第二病院外科
受理年月日
2001年12月12日
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