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第35巻 第4号 2002年4月 [目次] [全文 ( PDF 106KB)]
症例報告

リンパ節転移を来した直腸子宮内膜症癌化の1例

池田 公正, 島野 高志, 北田 昌之, 塚原 康生, 柴田 高, 福島 幸男, 秦 信輔, 赤木 謙三, 藤田 淳也, 奥山 正樹

市立豊中病院外科

 腸管子宮内膜症の癌化例は極めてまれであり,自験例を含めてこれまで世界で16例の報告をみるのみである.今回,われわれは直腸子宮内膜症癌化の1例を経験したので報告する.症例は56歳の女性.25歳時子宮内膜症の手術を受けている.主訴は下血で,大腸内視鏡および注腸造影で上部直腸に中心潰瘍を伴う粘膜下腫瘍が認められた.骨盤CTおよびMRIでは直腸間質内の嚢胞状リンパ節転移が認められた.開腹時腫瘍は直腸前壁に存在し,子宮・回腸と一塊となっており,低位前方切除,子宮・両側附属器・回腸合併切除を施行した.病理組織学的検査で,子宮内膜腺と周囲結合織を認め,これに接して腺癌の乳頭状増殖・浸潤を認めた.リンパ節転移も組織学的に確認された.以上の所見より,直腸子宮内膜症の癌化と診断した.患者は,術後5か月に多発性肝転移を来し,10か月で死亡した.腸管子宮内膜癌におけるリンパ節転移は予後不良を示唆する因子と考えられた.

索引用語
endometrioid carcinoma, endometriosis, rectum

日消外会誌 35: 445-449, 2002

別刷請求先
池田 公正 〒560-0055 豊中市柴原町4-14-1 市立豊中病院外科

受理年月日
2001年12月12日

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