症例報告
腫瘍径2cm未満sm直腸カルチノイド異時性肝転移の1例
永野 靖彦, 川浦 範之, 松田 悟郎, 窪田 徹, 田中 邦哉, 遠藤 格, 関戸 仁, 渡会 伸治, 嶋田 紘
横浜市立大学第2外科
71歳の女性.糖尿病にて近医通院中,肝機能障害が出現したため腹部超音波検査をうけた.肝右葉から内側区域にかけて7cm×5cmの腫瘍を認めたため,当科紹介入院となった.既往歴は4年前に他院で大腸ポリープ切除を受けていた.超音波検査では被膜を有する内部均一で辺縁整の高エコーを呈した.腹部CT検査では低吸収値を示し造影早期相で辺縁に造影効果を認めた.腹部血管造影では周囲血管は圧排偏位し辺縁より造影される淡い濃染像を認めた.以上より肝細胞腺腫を疑い,肝中央2区域切除術を施行した.病理組織診断はカルチノイドであった.4年前に切除された大腸ポリープを検索すると,径1.1cmの筋層浸潤のないカルチノイドであり,肝腫瘍はその転移であると診断した.腫瘍径2cm未満で筋層浸潤のない直腸カルチノイドの肝転移例は自験例を含め12例とまれであるが,転移の可能性を考慮し,厳重な経過観察が必要であると考えられた.
索引用語
rectal carcinoid, liver metastasis, sm invasion
別刷請求先
永野 靖彦 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
2001年12月12日
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