臨床経験
下行性壊死性縦隔炎に対する前方アプローチによる縦隔ドレナージ
森脇 義弘, 吉田 謙一, 松田 悟郎, 長谷川 聡, 山本 俊郎, 杉山 貢, 望月 康久*, 高橋 利通*
横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター救命救急センター, 横浜掖済会病院外科*
下行性壊疽性縦隔炎(DNM)の縦隔ドレナージに前方からのアプローチを採用し,良好な視野,ドレナージ効果を得たので報告する.糖尿病,慢性肝炎の既往がある56歳の男性.両側頸部左前胸部蜂窩織炎,縦隔炎で当センターへ転院.後咽頭腔開大,縦隔開大を認め緊急手術となった.気管切開の可能性を考慮し頸部中央には切開線をいれない両側頸部斜切開とした.浅頸,深頸筋膜,胸鎖乳突筋に壊死を認め,深頸部血管鞘を開放,大動脈弓までの縦隔ドレナージを施行した.皮弁や胸鎖乳突筋を顎部と前頸部皮膚に縫合固定し創を開放した.術後,右頸部,前頸部の炎症は急激に改善した.気管切開は,右前方斜めから施行し,同時に右頸部創を縫合閉鎖した.右前方からの縦隔ドレナージは,第2,第3肋骨胸骨付着部上を縦切開,第3肋軟骨を4cm切除し直視下に上大静脈周囲に至った.以降,病状は安定し,第52病日に転院となった.
索引用語
descending necrotizing mediastinitis, the anterior transmediastinal drainage, the retropharyngeal drainage
別刷請求先
森脇 義弘 〒232-0024 横浜市南区浦舟町4-57 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター救命救急センター
受理年月日
2001年11月27日
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