症例報告
T1a膵頭部癌が併存し術前診断が困難だった十二指腸筋層内血腫の1例
田中 昭吉, 本間 喜一, 橋本 毅一郎, 為佐 卓夫
美祢市立病院外科
十二指腸筋層内血腫にT1a膵頭部癌を合併し術前診断が困難であった症例を経験したので報告する.症例は66歳の男性.上腹部痛,嘔吐を主訴に来院した.来院時,上腹部に手拳大の腫瘤を触知し,血液検査で膵酵素,腫瘍マーカーの高値を認めた.胃透視では十二指腸への造影剤の通過は認められず,腹部CTで,膵頭部領域に内部に不整形の充実性病変を有する最大径8cmの嚢胞性腫瘤が描出された.腫瘤は10日目より増大しCT上内部が均一な像に変化し,同時に黄疸も出現した.1か月後,胃管からの排液量は変化なく,また腫瘍マーカーの高値,胆汁細胞診class IIIより,膵頭部悪性腫瘍疑いの診断にて膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘤は十二指腸筋層内にできた血腫であり,血腫とは別に膵頭部主膵管を中心に径1.5cmの低分化型管状腺癌を合併していた.
索引用語
intramural hematoma of the duodenum, pancreatic cancer
別刷請求先
田中 昭吉 〒755-2212 美祢市大嶺町東分1313-1 美祢市立病院外科
受理年月日
2002年2月27日
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