肝原発カルチノイドの1切除例

市川　剛, 田中　肖吾, 久保　正二, 首藤　太一, 山本　隆嗣, 上西　崇弘, 田中　宏, 広橋　一裕, 若狭　研一^＊, 木下　博明

大阪市立大学大学院医学研究科消化器外科・肝胆膵外科, 大阪市立大学附属病院病理部^＊

　47歳の男性．平成12年3月上腹部不快感が出現．腹部超音波像上肝内占居性病変を指摘され，精査加療のため当科に入院となった．血液生化学検査上，肝炎ウイルスマーカーは陰性であったが，AFP，CA19-9の上昇が認められた．腹部造影CT・血管造影像上，肝前区域・内側域を占居する径10cm大の内部が不均一で淡く濃染される腫瘍が認められ，また右葉に転移巣が認められた．生検の結果腺癌であったが，肝細胞癌の成分も含まれると考え，混合型肝癌の診断のもとに，TAE，PTPE施行後，肝右3区域切除術を施行した．病理組織学的に腺管構造はロゼット状を呈しており，Grimelius染色，chromogranin A染色により内分泌顆粒が証明され，肝原発カルチノイドと診断された．術3か月後再発の徴候は認められなかったが，事故死した．

索引用語
carcinoid of the liver, preoperative diagnosis, hepatic resection

別刷請求先
市川　剛　〒545-8585　大阪市阿倍野区旭町1-4-3　大阪市立大学大学院医学研究科・消化器外科・肝胆膵外科

受理年月日
2002年2月27日

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