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第35巻 第5号 2002年5月 [目次] [全文 ( PDF 117KB)]
症例報告

胸腺カルチノイド手術後4年目に膵,胆嚢転移をきたした1例

河本 和幸, 小笠原 敬三, 牧野 智和, 森賀 威雄, 阿曽沼 克弘, 吉田 泰夫, 伊藤 雅, 記井 英治, 河野 幸裕, 高三 秀成

倉敷中央病院外科

 胸腺カルチノイド手術後4年目に膵,胆嚢転移をきたした1例を経験したので報告する.症例は74歳の女性.胸腺カルチノイドにて胸腺摘除術を施行された.術後4年目の腹部CT検査にて膵頭部に径2cm大の腫瘤像を指摘された.MRCP検査でも膵頭部の腫瘍とそれより末梢の膵管の拡張を認めたため,膵頭部癌の術前診断で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭部に径1~2cmの褐色調で境界不明瞭な3個の腫瘍と胆嚢頸部に径1cmの腫瘍を認めた.病理組織学的に膵頭部,胆嚢頸部の腫瘍はいずれも4年前に切除された胸腺カルチノイドの組織と極似した所見であり,胸腺カルチノイドの膵,胆嚢転移と最終診断した.転移性膵腫瘍はまれな疾患であり,外科的治療の適応となるものは非常に少ない.

索引用語
thymic carcinoid, pancreatic metastasis, gallbladder metastasis

日消外会誌 35: 532-536, 2002

別刷請求先
河本 和幸 〒710-8602 倉敷市美和1-1-1 倉敷中央病院外科

受理年月日
2002年2月27日

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