症例報告
α-fetoprotein産生上行結腸癌の1例
松久 忠史, 井上 謙一, 山田 俊二, 小池 雅彦, 川向 裕司, 赤坂 嘉宣
幌南病院外科
症例は72歳の女性.胸部異常影を指摘され当院内科を受診.CTで左肺に1個の結節影,肝表面から突出する2個の腫瘍像,骨盤腔に嚢胞状腫瘍像(φ12cm)を認め,CFで上行結腸に潰瘍限局型腫瘍を認めた.上行結腸癌あるいは卵巣癌の肺転移,肝表面への播種と診断し開腹した.上行結腸腫瘍は漿膜面への露出はなく,卵巣は嚢胞状で膀胱への浸潤が疑われ,多数の腹腔内結節を認めた.播種,遠隔転移の原発は卵巣腫瘍と判断した.両側卵巣切除術,回盲部切除術を施行した.病理所見から上行結腸癌は中分化腺癌で卵巣腫瘍は上行結腸癌の転移を伴う漿液性嚢胞腺腫であった.癌細胞はAFP染色陽性でAFP産生大腸癌と診断された.術後,測定したAFPは69.7ng/mlと高値を呈していた.
索引用語
α-fetoprotein, colorectal cancer
別刷請求先
松久 忠史 〒062-0931 札幌市豊平区平岸1条6丁目 幌南病院外科
受理年月日
2002年1月30日
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