症例報告
腸閉塞症を併発した原発性早期虫垂粘液嚢胞腺癌の1例
高田 知明1)2), 吉田 秀明1), 塚田 守雄1), 奥芝 俊一2), 加藤 紘之2)
余市協会病院外科1), 北海道大学腫瘍外科2)
症例は94歳の女性.開腹歴なし.主訴は腹部膨満,腸閉塞症の診断で当院へ入院した.入院時,右下腹部に圧痛を認めたが腹膜刺激症状を認めず,また腹部腫瘤は触知しなかった.CEAは19.9ng/mlと高値を示した.腹部単純X線検査で小腸閉塞像,腹部エコー検査で右下腹部に嚢胞性腫瘤像,腹部CT検査では腫大した虫垂嚢胞性腫瘤が回腸を圧迫し閉塞している像を呈していた.以上より虫垂粘液嚢腫による腸閉塞症の診断で緊急手術を施行した.開腹すると虫垂腫瘍が回腸に癒着し圧迫しており回盲部切除術を施行した.病理組織学的には早期の原発性虫垂粘液嚢胞腺癌と診断された.本症例は本邦における原発性早期虫垂癌の最高年齢症例であり,また虫垂粘液嚢腫を合併し腸閉塞症を発症した極めてまれな症例と思われる.
索引用語
early carcinoma of the appendix, appendiceal mucocele, intestinal obstruction
別刷請求先
高田 知明 〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町85 余市協会病院外科
受理年月日
2002年1月30日
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