症例報告
空腸瘻形成を繰り返した潰瘍性大腸炎術後遅発性腹腔内膿瘍の1例
山本 雅由, 田辺 美樹子, 浜口 洋平, 茂垣 雅俊, 深澤 信悟, 長堀 優, 江口 和哉, 長堀 薫, 細井 英雄, 大原 毅
横須賀共済病院外科
潰瘍性大腸炎術後の遅発性の腹腔内膿瘍が原因と考えられた空腸瘻の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性.潰瘍性大腸炎でステロイド治療中,下行結腸穿孔,汎発性腹膜炎を併発し,3期にわたり手術を施行した.病理組織学的所見は潰瘍性大腸炎の激症型であった.術後6か月頃より炎症所見を認め,検査で左上腹部の膿瘍形成と空腸の2か所に瘻孔を認めたため,空腸部分切除,膿瘍腔ドレナージ術を行った.切除標本では潰瘍性大腸炎やCrohn病の所見は認めなかった.退院後再び白血球増加,発熱を認め,検査で前回とは異なる空腸の部位に瘻孔を形成していたため,空腸部分切除術を施行し,膿瘍壁は切除および掻爬した上,ドレナージを行った.切除標本の病理組織診断の結果は前回と同様であった.術後残存膿瘍腔に対して洗浄,ドレナージを行い,徐々に改善し退院となり,現在再発の所見なく経過している.
索引用語
ulcerative coiltis, late appearance of intraabdominal abscess, jejunal fistula
別刷請求先
山本 雅由 〒238-8558 横須賀市米が浜通り1-16 横須賀共済病院外科
受理年月日
2002年1月30日
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