症例報告
全内臓逆位症と腸回転異常症を合併したS状結腸癌の1例
金子 唯, 澤田 傑, 角 泰廣, 村瀬 勝俊, 吉田 直優, 松山 隆生, 松嶋 麻子, 西脇 進, 藤田 基, 尾関 豊
国立東静病院外科
症例は52歳の男性.主訴は動悸,息切れ.当院内科で貧血を指摘され,精査によりS状結腸癌と診断された.既往に全内臓逆位症を含むKartagener症候群があり,さらに合併奇形として,二葉肺,多脾,下大静脈欠損,腸回転異常が疑われた.開腹所見では肝臓は左側に,胃は右側に存在し,全内臓逆位を呈していた.また,non rotation型の腸回転異常症を合併していたため正中位に回盲部を認めた.S状結腸の病変は回盲部と強固に癒着しており,S状結腸切除に加え回盲部を合併切除した.術後経過は良好で第18病日に軽快退院した.内臓逆位症はまれな疾患であり,合併奇形を有することが多い.今回内臓逆位症にS状結腸癌を合併した症例を経験し,合併奇形も多数認めたが,手術操作に大きな問題はなく良好な経過を示したので報告した.
索引用語
situs inversus, sigmoid colon carcinoma, intestinal malrotation
別刷請求先
金子 唯 〒755-8505 宇部市南小串1-1-1 山口大学医学部附属病院先進救急医療センター
受理年月日
2002年1月30日
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