肝臓外科周術期管理におけるドレーンパウチ法の有用性

大塚　英郎, 鈴木　正徳, 海野　倫明, 片寄　友, 竹内　丙午, 松野　正紀

東北大学大学院医学研究科外科病態学講座消化器外科学分野

　はじめに：肝臓外科周術期ドレーン管理にドレーンパウチ法を導入し，その効果を対費用効率の面から検討した．方法：平成12年4月から12月までに当科で施行した肝切除手術症例26例を対象として，歩行開始・経口摂取開始・退院までの日数について調べるとともに，周術期創処置にかかるコスト，在院期間中の医療費について算出し，従来のガーゼによるドレーン管理法を実施した平成11年度の症例と比較検討した．成績：ドレーンパウチ法における歩行開始（Pouch法：3.58±1.39日，従来法：5.12±1.70日）および経口摂取開始までの日数（Pouch法：4.81±1.50日，従来法：6.46±3.31日），創処置にかかるコスト（Pouch法：3,036±401.7円，従来法：6,322.5±6,394.1円）は有意に減少した．また退院までの術後日数（Pouch法：22.46±12.44日，従来法：27.54±15.59日），在院期間中の医療費（医療保険診療点数，Pouch法：222,797.0±72,882.7点，従来法：272,734.7±121,493.8点）もドレーンパウチ法において減少する傾向が認められた．考察：ドレーンパウチ法を施行することにより，患者の身体的拘束感，不快感が軽減され，精神的安静と活動性の向上が得られた．早期離床・経口摂取再開時期の前倒し・術後回復の促進などにともなう医療費の節減が可能であり，対費用効率の面から有用な方法と考えられた．

索引用語
drain pouching, drainage, hepatic surgery, medical expense

別刷請求先
大塚　英郎　〒980-8574　仙台市青葉区星陵町1-1　東北大学大学院医学研究科消化器外科学分野

受理年月日
2002年2月27日

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