高齢者大腸癌症例の臨床病理学的検討

万井　真理子^1）2）, 西庄　勇^1）, 三嶋　秀行^1）, 柳生　俊夫^1）2）, 吉川　宣輝^1）3）, 辻仲　利政^1）

国立大阪病院外科^1）, 市立貝塚病院外科^2）, 箕面市立病院外科^3）

　目的および方法：当科における33年間の大腸癌切除例2,875例中75歳以上の高齢者症例284例に関して臨床病理学的検討を行い，術後合併症の危険因子と予後因子を多変量解析を用いて検討した．結果：高齢者が術前・術後合併症を有する率は88.3％，38.3％で術前は呼吸器障害，循環器障害，低蛋白血症，貧血，術後は創感染，イレウス，せん妄，呼吸器障害，縫合不全の順に高率であった．Logistic回帰分析の結果，術後合併症は手術時間（X）との関連が強く，線形判定式でZ＝－0.00828X＋1.34141であった．予後は高率な非癌死・他癌死症例を除いても不良で，Coxの比例ハザードモデルを用いた結果，独立予後因子とし根治度，リンパ管浸潤，リンパ節転移，術後合併症の順で強い相関を示した．考察：高齢者大腸癌症例でも術前全身状態が良好な場合，手術時間を短縮することで術後合併症を予防でき，またこの範囲で十分な郭清を行うことが予後の改善に重要である．

索引用語
colorectal carcinomas in older patients, preoperative complications, postoperative complications, prognostic factors

別刷請求先
万井　真理子　〒540-0006　大阪市中央区法円坂2-1-14　国立大阪病院外科

受理年月日
2002年3月27日

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