術後11年目に脳転移巣を摘出した大動脈周囲リンパ節転移陽性残胃癌の1例

林　泰生, 鎌田　徹, 林　泰寛, 湊屋　剛, 道輪　良男, 大西　一朗, 竹田　利弥, 神野　正博

恵寿総合病院外科胃腸科

　症例は71歳の男性．平成2年に残胃癌の診断にて左開胸開腹下部食道，残胃全摘，膵脾合併切除をうけた．病理組織学的に大動脈リンパ節転移陽性でstage IV，相対的非治癒切除であった．術後無再発生存中であったが11年目に右手の脱力感を主訴に受診．頭部CT検査，頭部MRI検査にて左頭頂葉に2cm大の腫瘤を認めた．脳腫瘍の診断にて左頭頂開頭脳腫瘍摘出術を施行した．病理組織学所見で左頭頂葉に認めた腫瘍は中分化から低分化型腺癌の像を呈し，残胃癌の病理組織学的所見と同様であった．以上より残胃癌の脳転移巣と診断した．今回，われわれは術後11年目に脳転移巣を摘出しえた大動脈周囲リンパ節転移陽性残胃癌症例を経験し，極めてまれな症例と思われたので，若干の文献的考察を加えて報告する．

索引用語
gastric remnant cancer, paraaortic lymphnode metastasis, brain metastasis

別刷請求先
林　泰生　〒926-8605　七尾市富岡町94　恵寿総合病院外科胃腸科

受理年月日
2002年2月27日

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