症例報告
狭窄症状で発症した十二指腸adenocarcinoidの1例
望月 能成, 竹島 英介, 水野 豊, 今澤 正彦, 山崎 泰爾, 小田 和重, 川瀬 義久, 山岡 哲哉, 竹内 元一, 小杉 伊三夫*
蒲郡市民病院外科, 同 病理*
症例は73歳の女性.腹部不快感を主訴に来院した.上部消化管内視鏡検査,上部消化管造影検査で十二指腸下行脚の全周性の狭窄像を認めた.狭窄部は悪性像に乏しく膵炎を疑い保存的治療を試みたが改善せず開腹術を施行した.術中の迅速病理検査でadenocarcinomaが疑われ全幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理所見では腫瘍組織は免疫染色の結果,神経内分泌細胞への分化と粘液産生が認められ,carcinoidとadenocarcinomaの互いの特徴を有しており十二指腸原発のadenocarcinoidと診断した.
Adenocarcinoidは虫垂ではよく知られているが,本症例のごとく十二指腸を発生母地とすることは極めてまれで,その悪性度はcarcinoidとadenocarcinomaの中間と推定されるが報告例が少ない.そのため,今後厳重な経過観察が必要である.
索引用語
adenocarcinoid, duodenal obstruction
別刷請求先
望月 能成 〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学第2外科
受理年月日
2002年2月27日
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