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第35巻 第6号 2002年6月 [目次] [全文 ( PDF 74KB)]
症例報告

術前診断が可能であった右傍十二指腸ヘルニアの1例

長田 博光, 横尾 直樹, 北角 泰人, 白子 隆志, 足立 尊仁, 吉田 隆浩, 浦 克明, 田中 善宏, 濱洲 晋哉

高山赤十字病院外科

 右傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスを経験したので報告する.症例は35歳の男性で,腹痛を主訴に来院した.腹部造影CTで,拡張した小腸が上腸間膜動脈を前方へ圧排する形で後腹膜腔に存在し,腸間膜とその中を走行する腸間膜血管の線状構造を交叉する像を認めた.イレウス管挿入時,十二指腸下行脚部でのイレウス管先端の奇異な動きを認め,この時の造影で腸管の走行異常と完全閉塞を確認した.以上より,右傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し開腹したところ,十二指腸下行脚部から約1mの小腸がヘルニア嚢内に嵌頓し,絞扼されていた.小腸を用手的に整復し,ヘルニア門の縫合閉鎖を行った.術前の腹部造影CTと,イレウス管の走行および小腸透視像から本疾患に特徴的な所見が得られ,早期診断が可能であった.開腹歴のないイレウスでは,傍十二指腸ヘルニアの可能性を考慮する必要があると考えられた.

索引用語
internal hernia, right paraduodenal hernia, strangulated hernia

日消外会誌 35: 616-620, 2002

別刷請求先
長田 博光 〒506-8550 高山市天満町3-11 高山赤十字病院外科

受理年月日
2002年3月27日

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